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近では、1970年代後半以降の「地方の時代」論の流れの中で、前述のように府県を「市町村の連合体」と位置づけた上で、府県の機能として市町村に対する支援機能を位置づけようとする議論も生まれている。この機能については、自治法上の連絡調整機能の意味内容を変えようとするものだと受け止めることもできよう。 (f)先導性・総合性・行政技術の高度性 全国知事会自治制度研究会は、高度成長期における新しい行政課題と府県行政の拡張を分析し、府県は、先導性、総合性、広域性、行政技術の高度性という新しい機能を果たすようになっているとした22)。ここで先導性とは、公害対策や過疎対策のように、新しい行政課題がまず府県によって取り上げられ、試行的に対処されることによって、問題の重要性について国などの認識を高め、施策化を促したという役割を指している。また総合性とは、わが国の縦割りの行政秩序の中にあって、府県が地域総合行政の主体として既存の行政秩序をこえて問題に対処しえたという側面を指す。さらに行政技術の高度性とは、公害防止技術など高度な科学技術を要する諸問題に対処しえたことを指している。 この議論の新しさは、先導性、行政技術の高度性といった形で、行政課題自体が流動化するなかで動態的な機能がありうることを示した点にあると思われる。 (g)政府間の媒介 村松岐夫氏は、中央・地方関係の実態を分析し、わが国の中央地方関係が従来言われてきたほど集権的でないことを明らかにするとともに、そこでは府県の媒介の機能が大きいことを強調した23)。 この議論は府県の機能論として行われたものでなく、また前述の連絡調整事務や市町村自治の擁護・支援とも重複しているが、中間団体としての府県の意味を考える際の一視角として軽視できないと思われる。 以上のとおり、府県制度の根幹をなすと思われる府県の基本的性格と機能に関しては、関連する議論も含めるとさまざまなものがあるものの、なお相互に十分な分析や整理ができているとはいえない。また、府県機能の実態との連結も、やや断片的であり、必ずしも十分ではない。本稿では、次に府県機能の実態を紹介、分析し、最後に府県の基本的性格と機能について私なりの分析視点を提示してみたい。
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